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「おしっこちょっぴりもれたろう」あらすじと感想

 

『おしっこちょっぴりもれたろう』は6月19日の誕生絵本です

 

ヨシタケシンスケさんの絵本って、このゆる〜いタッチのイラストと、クスッと笑えるのに、読んだ後になんだか心がふっと軽くなるような、深〜いテーマが隠されているのが魅力ですよね

子どもたちのちょっとした恥ずかしさや、周りの反応への戸惑い。そんな「あるある」を、優しく、そして楽しく描いているから、大人も思わず微笑んでしまう絵本なんです。

作・ヨシタケシンスケ
PHP研究所2018年

あらすじ⁡

ぼくの名前は「おしっこちょっぴりもれたろう」

おしっこをする前か後に、いつもちょっぴりもれてしまう。 お母さんには怒られるけど、すぐ乾くし、ズボンをはけばわからない。 だから、まぁ…いいんじゃない?

 

でも、もれたろうで困っている子、ほかにもいるのかな?

感想

⁡この絵本、ただの面白いお話じゃないんです。

むしろ、私たち大人が読むと、ハッとさせられるような、とっても大切なメッセージが込められていると私は思うんです。

誰にだって、人にわざわざ言うほどのことじゃないけど、自分の中ではずーっと気になっている「ちょっぴりダメなところ」や「コンプレックス」ってありませんか?

例えば… ・大事なプレゼンの日に限って、資料を一枚忘れちゃう ・いつもTシャツを裏表に着間違えちゃう ・料理で塩と砂糖を間違えそうになる ・相づちが「なるほどですね」ってなっちゃう(笑)

 

完璧な人間なんて、どこにもいないんですよね。

みんな、人には見せていないだけで、いろんな「ちょっぴり」を抱えて生きている。

 

私たちは大人になるにつれて、「ちゃんとしなきゃ」「完璧でいなきゃ」っていうプレッシャーに、知らず知らずのうちに心を縛られてしまいがちです。

特にママたちは、仕事に家事に育児に…って、毎日が全力疾走!

「ちゃんとしたお母さんでいなきゃ」って、自分を追い詰めてしまう瞬間、ありますよね。

 

でも、この絵本を読むと、そんなガチガチになった心を、もれたろうくんが「まいっか!」って、ふにゃふにゃにほぐしてくれるような気がするんです。

「ちょっぴりくらい、できなくたっていいじゃない。」

「完璧じゃなくたって、あなたはあなたのままで、とっても素敵だよ。」

そう言ってもらえているような気持ちになります。

自分のダメなところを隠そうとしたり、自己嫌悪に陥ったりするんじゃなくて、「これも私のかわいいところかも?」「仲間、いるかな?」って、もれたろうくんみたいに考えてみたら…なんだか世界がちょっぴり優しく見える気がしませんか?

 

子どもに対して「なんでできないの!」ってイライラしてしまった時も、この絵本を思い出してみてください。

「そっか、この子も”ちょっぴり”が苦手なだけなんだな」って思えたら、怒る気持ちがすーっと消えて、代わりに愛おしさがこみ上げてくるかもしれません。

子どもを見る目も、自分自身を見る目も、きっと優しくなれる。

自己肯定感という難しい言葉を使わなくても、ありのままの自分を好きになるヒントをくれる、最高の”心の処方箋”みたいな一冊です

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