「てっぽうをもったキジムナー」あらすじと感想

『てっぽうをもったキジムナー』は6月23日の誕生絵本です
タイトルに登場する「キジムナー」とは、沖縄の伝説に登場する木の精霊のこと
赤い髪の子どものような姿で、夜になるとガジュマルの木から現れると言われています
そんな不思議な存在が、少女・さちこの運命と重なって物語を紡いでいくのです。
沖縄の自然と伝説が、美しい絵と静かな言葉で綴られた一冊です。
作・たじまゆきひこ
童心社
1996年
あらすじ
沖縄の少女、さちこにおばあさんが話してくれました。
「おおきな木にはキジムナーがすんでいるんだよ」 「キジムナーは、よるになると木のなかからでてきて、しまのまわりをとびまわっているよ。さっちゃんのことも見まもってくれるさあ」
やがて、太平洋戦争が始まります。激しい砲火の中、家も学校も、そして日常も奪われていくさちこ。
それでも彼女は、おばあさんの言葉を心に抱きながら、避難の途中で不思議な存在「キジムナー」と出会うのです…。
感想
この絵本を読み終えたとき、静かに胸がいっぱいになりました。 戦争の悲惨さを描いていながら、そこに宿る”ぬくもり”や”祈り”がじんわりと伝わってくるのです。
「こんな時代にも、人は人を想っていた」 「目に見えない力が、私たちをそっと包んでくれていた」 そんな風に思えたとき、自分の日常の中にある“当たり前”が、とてもありがたく、愛おしく感じられました
この本は、大人にも届いてほしい絵本。 今、心がざわついていたり、何かを見失いそうになっている人こそ、そっと読んでみてほしい一冊です。