「シッゲのおうちはどこ?」あらすじと感想
『シッゲのおうちはどこ?』は7月17日の誕生絵本です
子どもが読んでも、大人が読んでも、きっと何か心に残る一冊です
作・スティーナ・ヴィルセン
&
セーブ・ザ・チルドレン・スェーデン
訳・きただいえりこ
子どもの未来社
2024年
あらすじ
ある日、知らない大人が突然家にやってきて、 シッゲと母親を引き離してしまいました。
シッゲは新しい里親と暮らし始めることになります。
そして、新しい環境の中で、彼は少しずつ成長していきます。
でも、読者として「この大人たちは誰なのか、なぜ、こんなことをするのか……。」という疑問がずっと頭から離れません。
本文中では、その理由や大人たちの正体は一切知らされないまま物語が進んでいきます。
だから、私たち読者はシッゲと同じ目線で、不安や戸惑いを共有するような感覚になるんです。
そして、そのすべての答えは、最後のページで初めて解説されるんです。
この構成がまた、物語に深みを与えていて、読後の感動をより一層高めてくれます。
読み進めるたびに、シッゲの心細さや、それでも懸命に新しい環境に適応しようとする姿に、胸が締め付けられるような気持ちになりますよ。
感想
この絵本を読んで私が一番感じたのは、「当たり前」って決して当たり前じゃないんだな、ということ。
そして、子どもたちが安心して過ごせる場所があること、信頼できる大人がそばにいることの大切さを改めて教えてもらった気がします。
シッゲが経験する出来事は、私たち大人が普段あまり意識しないような社会の現実を、子どもの目を通してそっと教えてくれるんです。
「知らない大人」に連れて行かれるシッゲの姿は、私たちの心に問いかけます。もしかしたら、私たちの身近なところにも、シッゲのように心細い思いをしている子どもたちがいるかもしれない。
そんな時、私たちは彼らに何ができるんだろう?この絵本は、そんなことを考えるきっかけをくれます。
そして、ただ悲しいだけでなく、シッゲが新しい環境で少しずつ前向きに生きていこうとする姿に、どんな状況でも希望を見つけることの大切さを感じさせてくれます。