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「鹿よ おれの兄弟よ」あらすじと感想

今日は1月29日に初版が発売された絵本、『鹿よ おれの兄弟よ』は1月29日の誕生絵本です。

自然と人間の関係を深く見つめた物語が、多くの読者に響くことでしょう。

 

そして、読んだ後は、なんとも言えない感動と静かな余韻が心に残る一冊です。

ページをめくるたびに、絵本なのにまるで映画を観ているかのような気持ちになるかもしれません。

文・神沢利子
絵・G・D・パヴリーシン

福音館書店

2004年

 

あらすじ

この絵本は、一人の猟師と鹿の、静かな心の交流を描いた物語です。

今日も猟師は小舟をこいで、鹿猟に出かけます。

かつてはここで家族そろって、鹿を獲って焚火を囲んで楽しい食事会をしたものでした。

でも、今はみんなもうこちらの世界にはいません。

 

そんなことをふと思い出しながら、猟師は今日も銃を構えます。

でも、森の中で出会った鹿の瞳を見つめているうちに、猟師の心に変化が訪れます。

鹿の澄んだ瞳、それはまるで、亡くなった家族の面影を映し出しているかのようでした。

猟師は、静かに銃を下ろします。 鹿を撃つことが、どうしてもできなかったのです。

夕焼け空の下、鹿と猟師は静かに見つめ合います。

猟師が向き合うのは、雄大な自然と自分自身の心。

そして森の中で出会う一頭の鹿が、物語の鍵を握っています。

彼は鹿を狩るべきか、それとも見逃すべきか――。

言葉を交わさなくても、二人の間には確かに何かが通じ合っている。

そんな、心温まるラストシーンが印象的です。

物語全体を包む、どこか寂しげな空気と、ラストシーンの静かな感動が、心に深く残ります

感想

この絵本は、美しくも心に響くストーリーで、自然と人間の関係を考えさせられます。

 

猟師にとって、鹿はかつて、家族を養うための糧でした。

でも、時が経ち、大切な人を失った今、鹿の瞳に映るものは失われた家族の面影に変わりました。

今や鹿は単なる獲物ではなく、自分と繋がりのある、大切な存在になっていったのではないでしょうか。

 

私たちは普段、様々なものと繋がりながら生きています。

家族、友人、ペット、そして自然… 目に見えるもの、見えないもの、全てが繋がり合って、この世界を形作っている。 この絵本は、そんな大切なことを、静かに教えてくれているように感じました。

 

忙しい毎日の中で、つい忘れがちな、大切なもの。 この絵本を手に取って、少し立ち止まり、周りの大切なものに目を向けてみてはいかがでしょうか?!

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